豊川エリアには今でもトピー工業の社宅があるが、幼い頃に、そのすぐ近くで野球をして遊んでいたという。さらに父が自動車部品メーカーで働いていた影響もあり、自動車関連の仕事を志望するように。大学では経済学を専攻しており、在学中には簿記2級も取得。商業簿記や工業簿記の知識は、現在の仕事にも生きている。
地元愛知への愛着はあるが、さらに広いフィールドで、経理・財務そして原価計算といった「数字」にまつわる業務を通じて、会社に貢献したいと意欲的だ。
豊川製造所 プレス事業部
業務管理部 原価・購買グルーブ
経済学部 経済学科 卒
2016年入社
私が勤務する豊川製造所は、当社のプレス事業部の製造拠点の一つです。敷地内には「スチールホイール工場」「スタンピング工場」の二つが設置されているのですが、前者ではスチール製の自動車用ホイールを月間で約40万本生産しており、後者では自動車の補給部品を生産しています。主な生産品目は、ボンネット、ルーフ、バックドアといった自動車の外販部品で、鉄板をプレス加工してつくられます。自動車の製造期間が終了したものであっても、不慮の事故などに遭ったユーザーに対してパーツを供給する必要があるため、自動車メーカーから依頼を受けて製造しています。
私が所属している業務管理部は、「労務グループ」と「原価・購買グループ」に分かれています。どちらも豊川製造所の経営を下支えする事務部門ですが、私は「原価・購買グループ」のメンバーとして、主に原価管理を日々行っています。売上から費用を差し引いたものが利益と呼ばれるわけですが、当社ではさらに細かく、「変動費」「固定費」を算出して、限界利益という数値を導くことで現状分析や将来に向けた施策を検討することになります。やや専門的になりますが、生産量や売上高の増減によって変化する費用が「変動費」で、材料費や燃料費などがこれにあたります。
一方で、設備の減価償却費やリース料、保険料など、営業実績の増減にかかわらず常に一定で発生する費用が「固定費」です。営業利益は「売上高—変動費・固定費などの諸経費」、限界利益は「売上高—変動費」で計算します。組織として豊川製造所では、毎年、年間の予算を策定していますが、予算通りにものごとが進むわけではありません。限界利益を算出していることで、損益分岐点分析が可能に。変動費、固定費それぞれの増減が利益に与える影響を可視化でき、改善のための打ち手も検討できます。その意味でも私の担っている業務は、豊川製造所の経営判断に大きく影響を与える仕事だと思います。
「数字」にまつわる
業務
予算策定や損益分析と並行して、発注元であるメーカーに提出する見積もりの基となるホイールの原価見積作成も行っています。どんな材料を仕入れ、どんな工程で製造し、どの程度の人件費がかかるのか。そのような具体的な項目を立てるためには、製造の現場で何が行われているのか把握することが必要になります。普段はパソコンモニターに表示された数字とにらめっこをすることの多い仕事ですが、工場内のラインに足を運んだり、技術陣と相談したりすることもあります。文系出身の私にとって「モノづくり」の内情を理解することは大変な面もありますが、製造の最前線のすぐそばにいるため、疑問を一つずつ解消することができます。
当社には研修の一環で、入社直後に現場の仕事を体験する「トピー塾」という制度があり、私は今と同じ豊川製造所内のスチールホイール工場において生産管理業務の一端を担いました。また、同様にスタンピング製造部での生産管理も経験。新人時代に顔見知りになった現場スタッフや技術者も多く、何より製造工程の概略を学べたことは、現在の仕事が円滑に進められる一因にもなっている気がします。
実は私は地元が豊川だったため、幼い頃からトピー工業のことは知っていました。また、父が自動車部品メーカーで働いていたこともあり、業界への関心もあった。ただ、就職活動で私が大事にしていたのは、大企業すぎない組織で働きたいということでした。単なる小さな歯車として社会人人生を終えたくない。その点、トピー工業は現場や経営との距離も近く、一人ひとりに裁量権があるのも魅力でした。
今私は、豊川製造所という一つの拠点の原価計算や損益分析の業務に従事していますが、いずれはプレス事業部全体、あるいは本社やグループ会社の取りまとめなど、さらに広い視座で数字を分析する仕事にも携わってみたいですね。当社の製品は、トラック・バス用のスチールホイールで国内シェア90%、ダンプトラック用の超大型ホイールでは世界シェア80%を誇ります。しかし、常に価格競争や技術革新の波に対抗していく必要はある。全社員が損益や原価の意識を持って働くために、私なりに努力を続けていければと思っています。